安藤杳子の本の話。

お部屋の中からこんにちは。

ある晴れた日の断章(『ポートレート・イン・ジャズ』『万延元年のフットボール』『ダンス・ダンス・ダンス』)

万延元年のフットボール。一年以上かけて読んでいる。再読だ。いつになったら読み終わる?大江健三郎のねちっこいほどの文章。生きた茎を切ったときの粘液のようだ。それがまた癖になるんだけれども。

     

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最近は村上春樹の『ポートレート・イン・ジャズ』を丹念に読んでいる。つまり、紹介されているジャズのアルバムを片っ端から聴いている。セロニアス・モンク、ビル・エヴァンズ、ビリーホリデイ、ルイ・アームストロング・・・。ジャズなんか知らない。人は30歳になると新しい音楽を聴かなくなると記事で読んだ。自分はそんなの嫌だ。死ぬまで新しい音楽を汲み取り続けたいんだ。

 

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サブスクで気軽に映画を観れる。けど逆に映画を観なくなった。TSUTAYAやGEOに毎週DVDを借りに行っている時代の方が映画を観ていた。いつでも観れる映画は、いつまでたっても観ない。

 

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村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を読み終わった。高校時代は本当に好きで、特に下巻は何度も読み返していた。大学に入ると、ブラインドタッチのできなかった自分はこの小説を打って練習していた(成果はもちろんなかった)。ほとんど10年ぶりに読み返してみて、なぜあれほど熱中できたのか、思い出せない。ヒロインであるユキという女の子は魅力的に感じていた。線の細い、ミステリアスな感じ。それだけは覚えている。あの行き場のなさ、鬱屈感にシンパシーを感じていたんだろうか。主人公は34歳のおじさんだったが。